非抜歯治療の考え方(2)〜不正咬合と奥歯について〜
前回は下顎の位置について、少しお話致しました。
今回は、奥歯についてです。
不正咬合(悪い噛み合わせ)を見た時に、どのような表現をするでしょうか?
おそらく、患者さんからみると、前歯の乱杭歯、出っ歯と表現されます。
歯科医師という専門的な立場から見ても、このように診断します。
しかし、実は前歯だけでなく、奥歯の不正咬合もあるケースがほとんどなのです。
矯正治療における診断において、
切歯(前歯)のポジションをセファロメトリックス(横顔のレントゲン)で表現、評価して、治療計画に組み込む方法が確立されています。
一方で、臼歯部のポジションは、近遠心傾斜•近遠心回転•頬側唇側傾斜など3次元的に表現されるので、セファロにおける診断においては排除されてきた部分です。
しかし、これらの奥歯の不正咬合こそ、不正咬合の成立に密接に関連していると考え、診断に組み込むようにしております!
ちなみに、ぼくの父の時代は、とにかく抜歯が当たり前の時代でした。今、父が生きていたら、意見の違いで喧嘩になっていたと思います!
このように、不正咬合の成立機序について、述べますと
ポステリアディスクレパンシー(奥歯の悪いポジション)によって、咬合平面(噛み合わせの平面)が変化し、これらが顎頭蓋の動的機構に影響を与え、歯性のみならず骨格性の不正咬合の成立の原因となる。
ということです。
診断は、その不正咬合になった成り立ちを考え、推察しなくてはなりません。
ぼくは、神奈川歯科に入局したので、それが当たり前だと思っていました。
ところが、だんだんと他の矯正の方法を学ぶところで、このような考え方を持っている先生は少ないのだなと感じました。
先日、日本非抜歯矯正研究会にお邪魔しました。(下の写真)
また、ぼくが学んできた非抜歯とは、ちょっと異なる考え方でしたが、素晴らしいと思いました!
様々な矯正の考え方、方法はあると思いますが、適材適所で使い分ければいいと思ってます。
非抜歯治療が決して目的ではなく、結果であることが重要です。
ぼくは、非抜歯論者でもありませんし!
抜歯をしなければならないケースは抜歯しますし、しなくてもよいケースはしないということです。
そのなかで、抜歯をしなくてもよいケースの方が多いということなだけだと思います!